悪い印象を与える「相づち」、「でも」で返すのは悪印象?
はじめに
会話中の相づちは、相手の話を聞いているというサインを送る大切なコミュニケーション技術です。しかし、使い方を誤ると、かえって悪い印象を与えてしまうことがあります。特に「でも」という言葉で返す相づちは、相手に否定的な印象を与えやすいと言われています。本記事では、避けるべき相づち表現と、より良いコミュニケーションのためのポイントを解説します。
「でも」で返すことの問題点
なぜ「でも」は悪印象なのか
相手が話している最中や話し終わった直後に「でも」「だけど」「しかし」といった逆接の接続詞で返すと、相手は自分の意見や気持ちを否定されたように感じます。たとえあなたに悪意がなくても、相手は「自分の話を聞いてもらえていない」「理解されていない」と感じてしまうのです。
具体例で見る「でも」の影響
悪い例:
- 相手:「最近、仕事が忙しくて大変なんです」
- あなた:「でも、みんな忙しいですよ」
この返答では、相手の大変さを軽視しているように聞こえます。
良い例:
- 相手:「最近、仕事が忙しくて大変なんです」
- あなた:「それは大変ですね。具体的にはどんなことで忙しいんですか?」
その他の避けるべき相づち
1. 話を遮る相づち
相手がまだ話している途中で、頻繁に「はいはい」「わかります」と連発すると、話を早く終わらせたいという印象を与えます。適度な間隔と、相手の話のペースに合わせることが大切です。
2. 上から目線の相づち
「なるほどね」「そうだと思った」などの相づちは、相手を評価しているような印象を与えることがあります。特にビジネスシーンや目上の方との会話では注意が必要です。
3. 無関心な相づち
「へー」「ふーん」といった単調な相づちを繰り返すと、話に興味がないように思われます。声のトーンや表情も含めて、関心を示すことが重要です。
4. 自分の話にすり替える相づち
「それ、私も同じ経験があって〜」と、すぐに自分の話に持っていくのも避けるべきパターンです。まずは相手の話を最後まで聞き、共感を示してから、関連する自分の経験を話すようにしましょう。
良い相づちのポイント
1. 肯定的な受け止め
まずは相手の話を肯定的に受け止める姿勢を示しましょう。
- 「そうなんですね」
- 「それは〜ですね」(大変/嬉しい/驚きなど、状況に応じて)
- 「なるほど、〜ということですね」
2. 共感を示す
相手の感情に寄り添う相づちを心がけます。
- 「それは大変でしたね」
- 「お疲れ様です」
- 「それは嬉しいですね」
3. 話を促す相づち
相手がもっと話したくなるような相づちも効果的です。
- 「もう少し詳しく教えてください」
- 「それで、その後どうなったんですか?」
- 「〜については、どう思われますか?」
4. 言い換えて確認する
相手の話を自分の言葉で要約して確認すると、しっかり聞いている印象を与えます。
- 「つまり、〜ということですね?」
- 「〜とお考えなんですね」
「でも」を使わない反論の仕方
意見の違いがある場合でも、「でも」を使わずに伝える方法があります。
1. まず受け止めてから
悪い例: 「でも、それは違うと思います」
良い例: 「おっしゃることはわかります。私は〜という見方もできるかなと思ったのですが、いかがでしょうか」
2. 質問形式にする
悪い例: 「でも、その方法は効率が悪いですよ」
良い例: 「なるほど、その方法もありますね。〜という方法と比較すると、どちらが良いと思われますか?」
3. 追加の視点として提示
悪い例: 「でも、予算が足りないじゃないですか」
良い例: 「素晴らしいアイデアですね。予算面についても考慮する必要がありそうですが、その点についてはどうお考えですか?」
相づちの実践トレーニング
ステップ1:自分の相づちを録音する
日常会話を録音してみて、自分がどんな相づちを使っているか確認してみましょう。「でも」「だけど」などの逆接表現の頻度をチェックします。
ステップ2:相づちのバリエーションを増やす
良い相づちのリストを作り、意識的に使う練習をします。最初は不自然に感じても、徐々に自然に使えるようになります。
ステップ3:相手の反応を観察する
相づちを変えたことで、相手の表情や話す意欲にどんな変化があるか観察してみましょう。
ビジネスシーンでの相づち
上司との会話
- 「承知いたしました」
- 「勉強になります」
- 「ご指摘ありがとうございます」
部下との会話
- 「そう感じているんだね」
- 「詳しく聞かせてくれる?」
- 「どうすればサポートできるかな」
クライアントとの会話
- 「貴重なご意見をありがとうございます」
- 「ご要望については、〜という形で対応可能です」
- 「詳しくお聞かせいただけますか」
まとめ
相づちは、単なる「聞いている」というサインではなく、相手との信頼関係を築く重要なコミュニケーションツールです。「でも」という逆接の言葉で返すことは、相手に否定された印象を与えやすく、避けるべき相づちの代表例です。
良い相づちのポイントは以下の通りです:
- まずは肯定的に受け止める
- 相手の感情に共感を示す
- 話を促し、深掘りする
- 意見の違いがあっても、まず受け止めてから自分の意見を伝える
日々の会話の中で意識的に相づちを改善していくことで、人間関係がより円滑になり、コミュニケーション能力も向上していきます。まずは「でも」を使わない一日から始めてみてはいかがでしょうか。

